私が知りあったとき、夫は…

 勤務先のクラブのオーナーはジャック・ニコルソンにそっくりでみんなの人望を集める紳士だった。お茶目なところが、魅了に値し、長崎の同友会を仕切るメンバーでもあり、牛島パーキングを知らない人はいない。うちは実業家である彼にもうひとつのシビアな面があることを薄々知ってはいたが、夜の世界を知りたくはない部位を私は大事にして、逆に、遠目から、見るようにした。彼が、思案橋で飲むバンカーふたりを見つけ、自分のクラブに連れて来て私は夫と初対面した。1986年4月4日だった。