ゴリラのようちゃん介護日誌〔10〕

 どんなに病状が悪化しても、通帳の暗証番号四桁も教えないのに、戒名だけは何回もお願いします!!ってまだ、拘って言っているPが、なんか、可愛くいとしくなってくる。お坊さんだった頃の父に生前頼んで決めて貰っていれば良かったな!!って。しかし待てよ…って思う。死ぬ前にそんなものを決めていいんか?おかしいだろ?っていう率直なはてなマークだ。しかも父がお坊さんを辞めたのはもう随分前。確か・・・八十歳になって数年はバイクに乗り近所を回っていた。その頃に戒名を考えてもらい字もちゃんと教えて貰っていれば今、ここまで悶もんとはしてないっていうそのセリフに待った!!を掛ける。父は戒名付けられる位置にはいなかった...を思う。そういうのを決める権限はきっと寺の総代。しかしこういう場当たり的な考え方もバンカーとして彼が立派だった所以だと思い直す。何よりも今、問われているのは柔軟さだ。