ゴリラのようちゃん介護日誌〔29〕

 自分が病室にいると勘違いしているP、何だか焦る。もしかしたら痴呆が一緒について来ているのでは?って。全く日時も分からない。朝なのに深夜だと思っている。ただ、昨日の座頭市物語は一緒に観る。しかしやっぱりどこか変・・・。以前なら興奮しながら面白そうに見るのに顔が固まっている。表情が出ない。それでも話し掛けることは大事!!って盛んに話し掛ける。面白いことを選んで話すけど、やっぱり意味が分かってない。でも私は誰?って質問するとお母さんって。そして病院に入院する?って訊くと、イヤイヤをする。アレ?って。ここが病室と思っているっていうのはじゃあどうなる?って。今の彼の頭の中にきっとヒントがある。人生の最期になって彼は私に詫びて全部の経済を任せます!!って。心から謝罪してくれた・・・。この心の変化は嬉しいけれど、酷く重たいものなのだ。