S200519

 昨日は水上勉さんの原作、飢餓海峡を鑑賞出来て最高でした。当時の警察の方々の生き方が素直に描写してあり、刑事の魂も同時に見ることが出来て感動する。続行する執念はこういう形で成就へと導かれ、逮捕の時もぞくぞくした。しかし一筋縄ではいかない犯人。とうとう恐れ山を前にして海に飛び込んで行く。献花をしないか?と言われ頷いた時から決行は計画していたのかもしれない。犯人を思慕してやまなかった娘、しかしあえなく殺されてしまうその娘を左さんは見事に演じその瑞々しい演技力に圧倒される。そして加藤〔最初は寅さんに出演の笠さんと勘違い〕さん演じる捜査陣のリーダー。全員一致で挑むそつのない捜査の進め方。その温厚かつ洗練された刑事気質を観客に見せつけた。類い稀な演技力だ。天下の高倉さんがかすむ程、周辺の人々、特に伴さんの凄いしたたかな演技。子供達の兄が弟に持って行けと渡す。父の勝利が二人にも見えた瞬間だろう。自分が働いて得たお金を父に手渡す為に弟がそれを持って走っていく。涙が出た・・・。刑事にとってホンボシを挙げることこそ成就の時。手柄。犯人を演じた三国さんも文句なしだった。あたしが九歳の時の映画だが、もしも左さん演じる娘が訪問して来たとき、喜んで再会を果たしてたら全然違っただろう。相手が自分を警察に通報する?それはありえない。男は勘違いしたのだ。娘は恩人だとそう思って何年も思慕してきた。初めて会ったのに大金を頂く。新聞紙にくるんで大事に仕舞った。時々開けてそれを確かめる幸せ。そしてかけがえのない男の手の親指の爪を保管していた。後生大事に保管していた執念のような愛が女を代表する。ほなあ行きまひょ。よもや飢餓 愛する人に あやめられ☆犯人は人を信じることが出来なかった、それが心の飢餓だろう☆