彼が買い物に来たんとちゃうか?

 

 あたしは金曜日長老と組む。彼女は心根が優しくて、検品も品出しもしてくれて頭が下がる。そしてあたしが品出しを覚えたい!!って申し出ても、商品の名前を全部覚えてからよ!!ってあたしに期待してくれていて嬉しいのだ。昨日も廃棄の弁当四個のうち三個を私にくださって、あたしは一気に帰宅して三個全部頂き、完全に忘れてしまっていた。タイキンを押すのを忘れて帰った。今朝オーナーにお詫びのショートメールを送った。も、もしかしたら彼かも・・って何回もカゴを戻しに行くふりをして、こっそり違う島から覗くが彼ではなかった。レジから見えないけど二人は話し込んでる。以前・・ここに勤務していたアルバイトの男の子だろうか。長老に別れを告げている。元気でね!!長い別れを意味していてあたしもその語調で帰国なんだな・・・に思わず涙が出てくる。こんな風にいずれは彼もベトナムに帰る。そのときを想像すると切なくて、好きになることに歯止めを掛けようとする自分を、別の自分が振り払う。こんなに仕事が出来て優しい男性は生まれて初めてだ。学業も成績優秀であることを否定しない。優先順位が明確だ。あたしも仕事面で12月になったら苦しい。彼が火曜日を離れる。かなり難易度高い仕事を強いられる。なぜなら検品のあとの品出しだ。今は全部彼が動いてあたしが従い並べるだけ。重い荷物を運ぶのは全部やってくれる。老骨にムチを打って頑張るしかない火曜日・・でも希望もあるんだ。もうひとり、若い女子がいる。もしもそのスタッフと組めたら最強!!とっても優しいし私をお母さんみたいに立ててくれる。弓道で鍛えているからしなやかな仕事ぶりで惚れ惚れさせる。大好きな女子だ。オーナーがきっとシフトを組んでくれる。検品の重たい荷物が落ちてきてケイパのスニーカーのかかとに穴が開いた。それくらい危険な仕事だ。今までずっとこの靴のこと・・・カッパって呼んでた。調べたらちゃんとした会社のいい商品だった。そして、かかと防備に力を入れている靴屋だということが分かる。中まで貫通していなかった。