ミラクル婆のアラセブ日記☆2★

 みんなが熱し易く冷め易いキャロルの性根を、いっぺんに見直す場面に来ています。最初の時点では、まったく印象は乏しくてドエン君は借りてきた猫。ときめきの材料すら感じなかった。ドエン君はその日、私が帰る八時まで、覚えることがいっぱいあり過ぎで、真剣に聞き入っていたのですが、メモはしていない。そこでこの子が頭脳明晰であることがわかったんです。教える中国人の男の子が暇そうにしている私を見かねて、こう言って来たのです。掃除機で全フィルターを吸い上げて欲しいって。でも不服がある私です。オーナーからレジだけでいいって言われ、思いやりで急遽入っているシフト。なんで、そんなあたしが、掃除機のハケ棒持ってフィルターに屈まないといけないの?って。心の中での葛藤が渦巻くのですが、啓示が出る。彼の言うことに従順になっていればいいことが起こる・・・って。やがてそれは確約に変わっていくのです。本当に?なら、そうしてみるってあたしは従うことにするのです。一枚一枚上蓋を外して店の下部に設置のフィルターを全部吸い込んでいくのは、そこに小さな埃が貯まるからです。埃で燃費が悪くなる。ドリンクや弁当のコーナーから順に開始して、アイスのコーナーも四つん這いになって吸い込んで行きます。私はドエン君はどんな面持ちでいるか?とても気になります。心で彼の頭をスキャンすると彼があたしを評価しているんです。日本女性の、しとやかさ、そして従順の極めつけがここにあるのでは?ってそして・・・中国人の先輩にそこまでやるの?っていう疑惑の眼差しをぶつけているのです。もっと、柔軟にお手柔らかにいいんじゃない?相手は白髪のしかも日本のおばあさんだよ・・・って。中国とベトナムの人間像がくっきり分かれた瞬間でもあったのです。